デンマークのコペンハーゲンに拠点を置くリサーチ&デザイン研究所。人類と地球に影響を与えるであろう大きな社会変化に対する革新的な解決策を研究・デザインするという目的のもと、2015年に設立された。

常に自分たちよりも賢い人たちと一緒に仕事をすることを大切にしており、世界中の先進的な専門家やクリエイターのネットワークと連携してプロジェクトに取り組んでいるほか、研究結果やアイデアはすべて公開されている。また外部の人々と交流し、想像力を刺激し、視点を多様化するために、展示や講演会、ディナー、上映会などを定期的に開催している。

今から3年以上前、SPACE10は《明日のミートボール》を発表しました。これは、昆虫や藻類、培養肉などの代替食材を使い、世界中で愛されているIKEAのミートボールを再考察したものでした。その後も私たちは、人類が将来食べることになると予想される食品を使ったさまざまな料理を開発しています。もちろん、これらはテストキッチンから生まれたばかりの試作品なので、すぐにIKEAのメニューに載るわけではありません。

SPACE10の研究には重要な原則があります。それは、料理が単にヘルシーで持続可能であれば良いのではなく、おいしくなければならないということ。

食に対する人々の意識を変え、新しい食材を「試してみたい」と思ってもらうには、知性に訴えるだけでなく、味覚も刺激しなければならないと考えています。

そのため、シェフやフードデザイナーと連携して、見た目もよく味もよく、さらに人にも地球にも優しい料理を開発しました。

そしてついに、いくつかの料理を披露する準備が整いました。まずは、私たちの大好きなファストフードに遊び心を加えたものをご紹介します。

The Dogless Hotdog《ソーセージなしのホットドッグ》

健康的でサステナブルな食べ物は「味気ない」というイメージを覆すために、私たちは定番の軽食にアレンジを加えてみました。

このホットドッグに使われているのは、乾燥させたミニキャロットのグラッセ、ビーツとベリーのケチャップ、マスタードとターメリックのクリーム、ローストオニオン、キュウリ、そしてサラダ用ハーブミックス。

そして注目せずにはいられないのは、《ソーセージなしホットドッグ》の主役、緑色のバンズ。

このバンズが緑色なのは、スピルリナが練り込まれているから。スピルリナは、ニンジンより多くのベータカロチン、小麦若葉より多くのクロロフィル、そしてほうれん草の50倍以上の鉄分を含む微細藻類です。

なによりも、このホットドッグは“本物のホットドッグ”よりもタンパク質が多いのです。

国連機関はスピルリナを「人類にとってもっとも理想的な食品」として推奨しています。私たちもまったく同意見です。

The Bug Burger《昆虫バーガー》

昆虫がおいしい食材だということを証明するために、《明日のミートボール》シリーズのCrispy Bug Ball (クリスピー昆虫ボール)をアップデートしました。 

皆さん、これが《昆虫バーガー》です!

パティには、ビーツ100g、パースニップ50g、ジャガイモ50g、ミールワーム(ゴミムシダマシ科の昆虫の幼虫)50gを使っています。

《昆虫バーガー》の精白小麦粉のバンズには、レリッシュ(刻んだピクルス)、ビーツとカシスのケチャップ、チャイブのスプレッド、水耕栽培したサラダミックスをはさんでいます。

一口食べれば、完食すること間違いなし!

The Swedish Neatball《スウェーデン・ニートボール》

IKEAのミートボールの最新版である《ニートボール》は、肉の消費量を減らし、地産地消を促し、代替タンパク質を試すことを考えるきっかけになるよう開発されました。

今回は2種類の《ニートボール》を作りました。ミールワームで作った“幼虫団子”タイプ(おひとついかが?)とニンジン、パースニップ、ビーツなどの“根菜団子”タイプ。

そして本場スウェーデンの味を楽しんでいただくために、マッシュポテト、グレービーソース、リンゴンベリーソースを添えてお出しします。

ほら、おいしそうでしょう?

LOKAL Salad Bar《ローカル・サラダバー》

私たちはバランスの取れた食事が好きです。つまり大量の野菜を食べることが大好き。だからこそ、オフィスの地下に水耕栽培の畑を作ったのです。今は稼働していないのですが、かなり長い間、大量のマイクログリーンを育てていました。土を使わない水耕の場合、作物は最適な栄養分を含んだ水の中で育てられます。

この地下設備は、私たちに“地元”で生産されたおいしい食材をより持続的に提供してくれました。四季を通して、春の恵みをいただくことができることが可能になったのです。

《ローカル・サラダバー》の野菜は、すべて水耕栽培で育てたもの。マイクログリーン、スプラウトとハーブの組み合わせを3通り考えました。(1)レッドソレル、ブロッコリー、タラゴン。(2)豆苗、ピンクカイワレ、タイム。(3)ボリジ、レッドフリルマスタード(からし菜)、レモンバーム。

サラダは、バジルとタラゴン、レモンバームで作った自家製ドレッシングで和えていただきます。また、フードロスを最小限に抑えるため、固くなったパンを細かく砕いてトッピングにしました。

サラダって、実はこんなにおもしろい料理なんですよ。

Microgreen Ice Cream《マイクログリーン・アイスクリーム》

最後に紹介するのは、水耕栽培で育てた栄養価の高いハーブやマイクログリーンを使ったアイスクリーム。この素晴らしいデザートで、ヘルシーでサステナブルな食事を締めくくりましょう。

さあ、フェンネル、コリアンダー、バジル、ミントのアイスクリームからお好きなものを選んでください。いくつかのフレーバーを組み合わせて、ミックスを作るのもおすすめです。

そしてなんと、600g分のアイスクリームに使用している砂糖はわずか60g。リンゴジュース、リンゴ、レモンジュースで甘さをプラスしています。

アイスキャンディーも作ってみました。これにはクルマバソウ、コリアンダー、チャービル、ソレルなど、水耕栽培のハーブを使用しています。

今回ご紹介した料理のなかで、このデザートがいろいろな意味でもっともクールかもしれません。