デンマーク在住のRikkaさんがお送りする北欧の便りシリーズ。

みなさん最近サスティナブルやSDGsなどという言葉をよくお聞きになる機会あるのではないでしょうか?環境保全やエネルギー問題、どのように地球を持続させて未来へ引き継いでいくのかという事は現在日本やほかの諸外国においても大きなテーマになっています。昨年のスウェーデン人の環境保護活動家のグレタさんの国連での演説も記憶に新しいですが、デンマークでも環境保全やエネルギー問題は大きく取り扱われています。風力発電などの環境にやさしいエネルギー調達はデンマークで盛んにおこなわれています。個人的に、確かに常に風がいつもあるというか強いので(ジブリアニメファンの私は風の谷ってこんな感じかなとかいつも思い浮かべてしまいます笑)風力発電に最適なのだろうと思っております。

さて、今回はデンマークで私が体験したサステナビリティを2回に分けてご紹介したいと思います。前半の今回は、私の日々の生活に密着したサステナビリティです。

1.掘り出し物もたくさん。蚤の市やセカンドハンドショップ

デンマークでは街なかに、教会や赤十字のセカンドハンドショップがたくさんあります。使わなくなったものを無料で引き取ってくれますし、売ってある物もとても安いです。私は実は物を捨てられない性質でして、誰かが使ってくれるかもしれないという希望があると断捨離もはかどります。こうして物を引き取ってもらって、お値打ち品を見つけて購入!とその繰り返しになり結果的に物が増えていることも多々(笑)

赤十字のセカンドハンドショップ。安すぎてびっくりする。

日本に住んでいた頃、“パリの蚤の市”とかお洒落な雑誌の見出しに出ていてなんだかよくわからないけど素敵!と思ったことがあったのですが、要はこれって物を捨てないようにできる知恵ですよね。掘り出し物を探すのも楽しいものです。たまに小さな女の子の自分の使わなくなったおもちゃ専門店があったりして、微笑ましいです。

日本にもリサイクルショップってありますが、受け入れてくれる物の幅広さや数の多さがまだ狭かったりする気がしたので、もっとこういう形で広まればいいなあと思います。ネットでの個人取引よりシンプルでリスクも少ないですしね。

また、私は日本に住んでいた頃は服に限らず他人の利用したものをまた使うという事に若干抵抗を感じる部分があったのですが、デンマークの人たちの当り前にユーズドや中古品をやり取りする文化に触れ、すっかり抵抗はなくなりました。

当然着る前に洗ったりクリーニングに出したりするし、なによりファストファッションの流行を経て、誰も持ってないこのデザイン!という自己満足の世界にも浸れます。こちらの古着屋に行くと、いろんな年代の人でお店がにぎわっていますし、皆さん着こなしもおしゃれ!むしろ自分から積極的にこういったアイテムを取り入れていきたい感じです

また、コペンハーゲンなど大きな町には、個性的な古着屋さんもあります。独自のシステムを作って登録者は自分のクローゼットのようにお店にある服をどんどん交換して着れたり、ポイント制で自分の預ける服がまるで貨幣の感覚のお店もあります。アイデアがいい!

デンマークの個性的な古着屋さん。値段も手ごろ。

あと、小さなお子さんを子育て中のお母さん向け専門のセカンドハンドショップもあります。小さいお子さんは成長するのも早いから新しい服がどんどん必要になるでしょうし、短い期間しか着ていないのにもう着られない・・・という物も捨てるよりは誰かに利用してもらったら嬉しいですよね。逆も然り。安価できれいな物があればそれも便利だと思います。またこちらのベビーカーは大きくてとても高価です(乳母車、って感じのやつ)。そういう物も中古で構わなければ出費も抑えられます。これであなたもやりくり上手!

このように、日本にもあるようなご近所の親御さん同士でのやり取りのほか、こういったお店で新品と中古をうまく活用しているご家庭が多いようです。こういうのとても便利だと思います。

あと、数年前から洋服や物だけではなくスーパーでも積極的に賞味期限が切れそうなもののディスカウントが行われており、賞味期限切れのもの専門のスーパーもあります。日本でも廃棄食品の多さは問題になっていると聞きます。自己責任でこういった活用が広まればこういった商品を扱うスーパーも良いのではないでしょうか。

WeFoodという賞味期限切れや売れ残りのものを集めたスーパー。野菜から雑誌まで色々。

2ゴミの分別もやりやすい

次に、ごみの分別にも日本との違いがある気がします。数年前から生ごみと紙・段ボール、硬いプラスチックや金属、それ以外という風に家庭ごみの分別が始まったのですが、日本に比べて割とゆるめです。日本だと個人で袋に詰めて、その袋の中に回収できないものが発見されると、“回収できません”シールが貼られてごみ収集場所に放置・・・誰が片付けるでもなく放置・・・。というのもよく見ました。

もしうまく分別できないなら“それ以外”に入れて処分できます。あと、瓶なども見た目できれいならOKです。単に個々人のモラルの問題かもしれませんが、なんだかハードルが低いと続く気がするのです。あと、使えなくなった電池なんかもゴミ箱の蓋にビニール袋に入れて括り付けておけば一緒に持って行ってくれたりして、地味ですが便利です。

一方、日本のように捨てる時に簡単にプラスチックとガラスを分けられる瓶、とか痒い所に手が届くものは残念ながら無いに等しいためペンチでバキッとやったりします。

デンマークのその他のゴミは基本的に自分で収集所に持っていくスタイルが普通です。庭の剪定した枝木、割れた植木鉢、古い屋根や建材(DIYも多いから?)、プラスチックの袋、電化製品、ありとあらゆるものが細かく分別されて捨てられています。面白いのはクリスマスが終わると大量に包み紙が回収に出されたりしてゴミで季節を感じます。回収所はちゃんと職員の人もいてくれて、分別に迷うようなものは聞くと優しく教えてくれます。

一応お断りとして、もしかしたらこれは田舎あるあるで都会ではまた違うのかもしれません。

3.行政でのペーパーレス化やキャッシュレス

近年デンマークでは個人向けの公的書類がネット上のメールボックスに送付されるようになりました。通知が来たのを知らないと返信期限を知らない間に過ぎていた!なんてこともあるので注意が必要ですが、私はまだ紙媒体だった頃に1回重要な書類を間違えて捨ててしまった経験があるので、こうやって一つにまとまってくれているのはとても有難いです。また、紙幣や硬貨もほとんど使うことはありません。蚤の市のような屋外のイベントだと金銭が必要になることもあるのですが、基本的にはクレジットカードや国内で使えるスマートフォンアプリで決済が可能です。このアプリはとっても便利で、相手の電話番号が分かれば金銭のやり取りなしで割り勘ができます。一応もしもの時の少額の金銭は一応持っていますが、カード入れのみで生活できるので身軽で良いです。

このように、今回は私の身の回りからのサスティナビリティに特化してみましたが、次回はもうちょっと大きく、私が訪問した町や施設の取り組みについてご紹介したいと思います。

ABOUTこの記事をかいた人

Rikka

東京都出身。看護師・保健師。都内総合病院に勤務していたが、2010年、夫の仕事の関係で英語も話せないのにデンマークに移住。まずは環境に慣れるためとデンマーク独自の学校システムであるフォルケホイスコーレにて学生生活をスタートする。現在首都コペンハーゲンのあるZealand島の片田舎在住。Zealand内の総合病院にて看護師勤務を経験し、地域医療/福祉に目覚め、現在看護業務をしつつ、フォルケホイスコーレの非常勤スタッフも務める。 そのほか、北欧における難民援助調査の取材コーディネーション、美術館の所蔵品に関する翻訳、その他現地研修通訳などの経験あり。個人的な趣味は裁縫・美術鑑賞・古着収集など。カタツムリと猫が大好き。