• 撮影:村上 賀子
  • 編集:伊藤 亜莉

牧 祐子

年齢:35歳
家族構成:妹と二人暮らし
物件タイプ:一軒家
お仕事:建築家、デザイナー
フリーランスとして働く傍ら週3でゼネコンに派遣社員として勤務

様々な働き方が増えている昨今。自宅を職場とし、「暮らし」と「仕事」が共に充実している人を紹介していくシリーズ。

今回は学生時代をフィンランドとスウェーデンで過ごし、スウェーデンの設計事務所で働いた経験もある牧さんのご自宅にお邪魔しました。

もともとはスウェーデンで勤務していた頃にご両親から依頼されたウィークエンドハウス。在籍していた設計事務所ELDING OSCARSONにオファーをし担当設計者として設計した住宅。

素敵なご自宅やインテリアなど自宅に置くものの基準や、スウェーデンから日本へと働く環境を変えての働き方の変化など色々とお伺いさせていただきました。

1日のスケジュールを教えてください。

フリーランスとして働く日

  • 7時−8時 起床・支度・朝食
  • 9時   作業
  • 13時   昼食、休憩
  • 14時   作業
  • 19時   夕食
  • 20時   作業だったり、オフだったり
  • 24時−25時 就寝

自宅でオンとオフをどのように切り替えていますか?

あまりきちんとわけられていません。だいたい食事の時間を決めていてその前後が休憩時間になることが多いです。

基本的には二階のリビングがくつろぎの空間、一階の作業場兼寝室が仕事場、と空間でオンオフを分けています。

自宅で仕事をすることの良さは何ですか?

なにより自由なのがよいです。誰にも干渉されず、音楽やラジオをかけて自分がリラックスした環境で仕事ができるのは良いです。

スピーカーとiPhoneを繋いでradikoとspotifyをよくかけています。
作業内容や気分によってラジオ、音楽と使い分けています。

自宅で仕事をすることの悪いところや困ることは何ですか?

忙しい時は時間も空間も仕事が生活を侵食してしまうことがあります。
締め切り後などひと段落した時に一気に掃除をしてリセットするようには心がけています。

仕事で使っているお気に入りの家具やグッズなどは何ですか?

大学時代に購入した飛騨高山の職人さんが作ったデスクです。
もともとダイニングテーブルなのですがパソコン作業以外にも模型製作などの作業もできるサイズで気に入っています。

シンプルであきのこないデザインは北欧デザインに通じる部分があるなと思っています。

自宅のお気に入りの場所はどこですか?

キッチンです。仕事中、息抜きがてらコーヒーやお茶を入れたりしにくるのですがキッチンに立つと自然と思考の切り替えが行えるような気がします。

スウェーデンではFikaという文化があります。甘いものとコーヒーを一緒に楽しむコーヒーブレイクなのですが家族や友人、同僚とリラックスしたり会話を楽しむ時間として日常の中で大切にされている時間です。

誰かと一緒に楽しむFikaにはかなわないのですが…一人でも習慣的に一息する時間をとっています。

また料理の時間もリラックスできるので大切にしています。


インテリアや家の中に置くものなどの基準などはありますか?

家の中のものはなるべくシンプルに、ものは増やしたくないと思っています。家具以外に飾っている小物や雑貨はスウェーデンから持ち帰ったものがほとんどです。人からもらったり蚤の市で購入したものが多いです。

ダイニングテーブルやチェアはデンマークのアンティークのもの。日本のネットショップで購入。『デンマークの家具はスウェーデン生活で触れたり、目にする機会が多く自然と好きになりました。主張が少なくどこか温かみがあるところが魅力です。いろんな空間に馴染むデザインだなと思います』
ソファとクッションは最近日本でもオープンしたばかりのHAYのもの。『新築時にはまだ日本に店舗がなかったのでソファは当時HAY製品を一部輸入をしていたインテリアショップで取り寄せてもらい、クッションはスウェーデンから持ち帰りました。
デザイン性が高く価格も比較的良心的であるためよくスウェーデンにいるときも仕事でよく使っていたブランドです』

仕事におけるインプットはどのようにしていますか?

本、雑誌、インターネットなどが主な情報源です。

時間のある時は展示に足を運んだり、旅行したりもしています。

学生時代は旅行というと建築を見ることを最大の目的としていましたが、最近はその土地の文化に触れる時間も同じように大事だと感じています。

普段の生活の中でたまたま出かけた先の建物や内装がインスピレーションのもとになったりすることもあります。

この夏にスウェーデンに訪れた際に購入してきたSvenskt Tennのデザイン図柄の絵本。『昔のものなのですがとても状態もよく完成度の高い本でお気に入りです』
ベットサイドには自身でデザインしたプロダクトや友人の作った作品、素材など様々なものが置かれている。

あなたにとって日々の暮らしと仕事の関係性は?

不可分の関係。まだベストなバランスを探り中です。

スウェーデンの社会では仕事と生活はきっちりと時間で区切られていることが一般的でした。私の働いていた設計事務所は小さなアトリエ系の事務所だったので繁忙期などは残業することはあったものの、遅くまで働くということは滅多にありませんでした。限られた時間の中で効率的に仕事をし、日々の暮らしも楽しむ。そのようなが土壌がある環境に身を置いて学んだことは多かったと思います。

ただ帰国し、自宅でフリーランスという形で働き始めると生活と仕事はより地続きのようになり、ずっと働いている気もするしずっと休んでいるような感覚になるときもあります。

今は週に3度ほど派遣の仕事もしているので時間に制約ができることで以前よりはバランスが取れるようになりましたがもう少しメリハリをつけたいと感じています。

建築やインテリアの仕事は暮らしと密接に関係する分野であるので生活者としての視点は常に大切にしたいと思っています。暮らしを楽しむゆとりは持ち続けたいです。

略歴

1983 新潟県生まれ
2006 東京理科大学理工学部建築学科卒業
2008 Helsinki University of Technology, Department of Architecture, General Study Program (フィンランド)
2010 Konstfack University College of Arts Crafts & Design 修了 (スウェーデン)
2010 -2015 Elding Oscarson 勤務 (スウェーデン)
2015 Studio Yuko Maki設立 (日本)

受賞
2010 Muuto Talent Award 3rd prize