-morning-
花の水換えをする、日記を書く。
フリーランスで仕事をしているので日によってスケジュールが全く違う毎日だが、朝の習慣にしているのは花の水換えと、日記を書くこと。
日記を書き始めたのは、息子が生まれてから。日常生活で感じる小さな発見や、息子の成長、ともすれば忙しさに流されてあっという間に忘れてしまいそうな日々の機微を、文字にして残すことで少しでも留めておきたいと思ったから。
よく眠った後に振り返ってみれば、前の日に起きたネガティブなことは大抵「まあいいか」とさらりと流せるようになっているし、ポジティブなことは今日を生きるエネルギーになる。一日一日がかけがえのないものであることに気がつき、人生は美しいと思える。
そして日記を書く前に、家中の花瓶の水も換える。移ろいゆく花の姿を愛おしみ、その変化に合わせて活ける器を変えたり、また周りのインテリアを少し変えたりして楽しむ。
バタバタしがちな朝だけれど、ひと呼吸おいて花も自分も整え、気持ちよく一日を過ごしたい。
-afternoon-
旬の花、旬の食べ物を選ぶ。
週に2回、近所のマルシェに買い出しに行くとき、八百屋さんのスタンドに並ぶ青果たちの顔ぶれを見ては「もう夏がきたのだなあ」と、季節のめぐる早さに驚く。今はペッシュ・プラ(平たい桃)やアブリコ(アプリコット)、フレーズ(苺)、それからスリーズ(さくらんぼ)など、大好物のオンパレードで嬉しい。もう少ししたら、ミラベルやレーヌクロードが出てくるかななどと、思いを馳せる。
花を選ぶときにも、旬のものを選ぶようにしている。旬のものは、野菜も花も、内からみなぎる生命力があって、ひときわ美しい。季節が一巡りして、旬の花に再会するたび、毎年毎年、飽きずに恋するような気持ちになる。
その季節ならではの楽しみを見つけることは、暮らしの豊かさに繋がっているように思う。
-evening-
朝のためのグラノーラを作る、ハーブティーを淹れる。
平日の朝食は主に、自家製のグラノーラ。以前は買っていたのだが、料理家の友人に眼から鱗が落ちるような簡単なレシピを聞いてから、3日に1度ぐらいのペースで作り、常備するようになった。夕飯を作るついでや、夜の隙間時間に作っている。
材料をボウルに入れて手で混ぜる間は、ひととき触覚に集中して無心になれるし、オーブンから漂ってくる甘い香りには癒される。一日を終え、まだ見ぬ明日へと向かう、小さな希望のような香りだ。
そして眠る前にはハーブティーを淹れて、心身をゆるめる。東京の実家にいた頃はいつも、母が風呂上がりにお茶を淹れてくれて、さらに(健康にはあまり良くないかもしれないが、)アイスクリームやフルーツを食べながら、なんでもない会話を少し交わしてからベッドに入っていた。何を話したかなどは全く覚えていないのだけれど、それは今日という一日をやさしく閉じるための、ささやかで、大切な時間だったように思えるのだ。
Text & Photographs by Yurika Moriya